『講習を受ければ罰金は免除!』はウソ(自転車運転者講習制度の誤情報2)

6月1日から施行される自転車運転者講習制度について、先般ご紹介した誤情報『6月1日から自転車にも青切符』と似たような、『講習を受ければ罰金や前科は免除』『いわば温情措置である』といった情報も出回っているみたいですが、これも明らかに誤ったウソ情報です。

いわゆる青切符については、期日内に反則金を納付すれば刑事裁判を起こされない(→刑事罰を受けることがない・前科とならない)という制度が、法律で明確に規定されております[*1]。
しかし自転車運転者講習に関しては、そのような法規定は一切存在しません。
そのため、仮に危険行為に該当する交通違反で摘発された(赤切符交付された)場合、講習を受けたところで、刑事手続がストップするわけもなく[*2]、検察そして裁判所の判断によっては罰金が科せられる(→前科となる)ことも起こりえるわけであります。

それ以前に、自転車運転者講習の受講命令の要件である「危険行為をした」の認定方法に赤切符交付が含まれている[*3]のですが、赤切符交付がなされた以上、警察は速やかに送検しなければならず、検察も起訴・不起訴等の判断を速やかにしなければならないところ、「この違反者は3年以内にもう1回危険行為で摘発を受けて、なおかつ講習を受けるかもしれない」などと、3年も処分を保留してくれるはずありません。
そんなこと常識的にあり得ません。

また、もし赤切符以外の任意の(法的根拠のない)取り締まりで「危険行為」に係る違反を事実認定した場合、何しろ法的根拠のない行為なので、そもそも罰金とかの刑事罰が科されようもなく、前科も発生しようがありません。
なので、『罰金・前科は免除』なることも起こり得ないわけであります。

前回の記事にも書きましたが、自転車に係る交通違反の(法的に認められた)摘発は、従前どおり、いわゆる「赤切符交付」をもって行われ、また、自転車運転者講習制度が赤切符処理に温情を挟むような法規定は一切存在しませんので、ご注意頂ければと思う次第でございます。


*1 刑事裁判を起こされない...という制度が、法律で明確に規定されております

→道路交通法第130条

*2 刑事手続がストップするわけでもなく

起訴猶予や不起訴となり、刑事裁判まで至らないことはあり得ますが、それはあくまで検察の判断であり、講習を受けたかどうかが制度的に刑事手続に影響することはありません。

*3 「危険行為をした」の認定方法に赤切符交付が含まれている

法律上明記されていませんが、各種行政機関の広報によると、赤切符交付が「危険行為をした」ことの事実認定方法の一つとされております。

『6月1日から自転車にも青切符!』はウソ(自転車運転者講習制度の誤情報1)

6月1日から、改正道路交通法第108条の3の2等に基づく『自転車運転者講習』の制度が施行されます。
この制度は、自転車で「危険行為」に該当する道路交通法違反を複数回・・・行政機関の広報によると3年に2回以上・・・行った者に対し、公安委員会が「自転車運転者講習」の受講を命ずることができるという制度です。

(関連記事)
>> 【パブコメ】自転車運転者講習の受講命令の対象となる『危険行為』の中身

ところで最近、この制度について、『6月1日から自転車にも青切符が交付されるようになる』などといった情報が出回っておるようですが、これは明らかに誤ったウソ情報です。

よく「青切符」などと呼ばれている交通違反処理、「交通反則通告制度」というものになるのですが、これは大雑把に申せば、道交法で「反則行為」とされている軽微な交通違反については、違反者に青切符を交付し、その者が期日内に規定の反則金を納付すればそれでオシマイとする(刑事裁判を起こさない、刑事罰が科されない)といった制度になります。
そして、「反則行為」の対象は、道路交通法第125条第1項により、自動車・原付など軽車両以外[*1]の車両の運転に係る交通違反に限定されているため、自転車は青切符の対象とはされていないのであります。
ところで、この道路交通法第125条第1項は、今般の道路交通法改正では一切改正されておらず、6月1日以降も従前のままでございます。
そのため、6月1日以降についても、自転車には青切符が交付されるはずがないということになるわけであります。

そのようなわけで、自転車の交通違反については、従前どおり、いわゆる「赤切符交付」をもって行われますので、ご注意頂ければ[*2]と思う次第でございます。


*1 軽車両以外
正確に申せば、「重被牽引車」以外の軽車両以外、ということになります。
重被牽引車と呼ばれる軽車両で交通違反をすれば、青切符の対象となります。
(関連記事) 反則通告制度と免許制度は関係ない

*2 ご注意頂ければ
青切符適用になるということは、ある意味、罰則弱化ということにもなります(刑事罰が科されなくなる、前科でなくなる)。そういう点で喜んでしまった方も・・・いないとも限りませんので・・・念のため。

『自転車運転者講習』に関連する条文資料

先日の記事でご紹介しましたパブリックコメントにおける「自転車運転者講習」につきまして、この度、これに関連した法令の条文を一通り抜き出した資料を作成しました。

>> パブリックコメント「『道路交通法施行令の一部を改正する政令案」及び「道 路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」に対する意見の募集について」 における自転車運転者講習に関連する条文
(PDF)

パブリックコメントを提出される際の参考となればまことに幸いでございます。

【パブコメ】自転車運転者講習の受講命令の対象となる『危険行為』の中身

本日から、「『道路交通法施行令の一部を改正する政令案』及び『道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案』に対する意見の募集について」と題するパブリックコメントの募集が始まりました。

自転車運転者が『危険行為』を反復して行った場合には、その者に対し「自転車運転者講習」なるものの受講を命ずることができる旨の規定が、改正道路交通法の未施行部分に定められております。
そして本件パブコメに係る法令改正案には、この『危険行為』とは具体的に何かを定めている条文が含まれております。
そこで今回の記事では、パブコメを提出される方の参考になればと、『危険行為』として規定されようとしている違反行為の内容についてご紹介を致したいと思います。

1 信号無視


説明するまでもないでしょうが、自転車も自動車と同様に、信号機に従う義務があります。
なお、歩行者用信号機が付いている横断歩道を渡る場合は、自転車であっても歩行者用信号機に従わなければなりませんので、ご留意ください。

2 通行禁止違反


自転車通行禁止の道路標識のある道路を通った場合などが該当します。

3 歩行者用道路における徐行違反等


歩行者用道路とは、全体が歩行者専用となっている道路のことをいいます。
多くの歩行者用道路は、「自転車を除く」などの補助標識により、自転車の通行が可能となっておりますが、歩行者用道路を通る際には、特に歩行者に気をつけて、(歩行者の有無に関わらず)徐行をしなければなりません。
この義務に違反し、徐行を超える速度で通行するなどすると、この規定に違反することとなります。

4 通行区分違反


自転車は、基本的に車道の左側を通行しなければなりません。
車道の右側を通行したり、道路右側の路側帯を通行したり、歩道等(歩道・路側帯)を通行できる条件を満たしていないのに歩道等を通ったりすると、通行区分違反となります。
なお自転車は、車両通行帯がない道路(一車線道路・片側一車線道路)では道路
(車道)の左側端寄りを、車両通行帯がある道路(片側二車線以上の道路)では原則として第一通行帯を通行しなければなりませんが、これらの違反については『危険行為』には含められておりません。

5 路側帯の歩行者妨害



自転車は、道路左側の路側帯を通れる場合がありますが、この場合においては、行者の通行を妨げないような速度と方法で進行しなければなりません。
路側帯で歩行者の妨害をするなどすると、これに違反することとなります。
なお、道路右側路側帯の通行については、4つ目の「通行区分違反」に該当します。

6 遮断踏切立ち入り


これも説明するまでもないでしょうが、踏切の遮断機が閉じようとしているときや、遮断機が閉じている間、踏切の警報機が鳴っている間は、踏切に入ってはなりません。
なお、自転車も踏切に入る前には、自動車と同様に一時停止する義務がありますが、この一時停止義務の違反については、『危険行為』に含められておりません。

7 交差点優先車妨害(左方優先違反)・優先道路通行車妨害・交差点安全進行義務違反


自動車運転免許をお持ちの方ならご存知のことと思いますが、信号機のない交差点では、基本的に左方優先を守らなければなりません。
交差道路が優先道路である場合や、交差道路の幅が進行道路よりも明らかに広い場合については、交差道路の車両(自転車も含みます)を優先させ、また徐行で通行しなければなりません。
また、交差点においては、「できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない」という全般的な注意義務も課せられております。
これらの規定は、自動車だけでなく自転車にも適用されますので、自転車であってもこれらを守らないと、法に違反することとなります。

8 交差点優先車妨害(右折車両)


交差点において右折する車両は、直進や左折をする車両(自転車も含みます)の進行妨害をしてはなりませんが、この規定も自転車にも適用されます。

9 環状交差点通行車妨害等・環状交差点安全進行義務違反


環状交差点に入ろうとする車両は、環状交差点を通る車両(自転車も含みます)の進行妨害をしてはならず、また徐行をし、通常の交差点と同様に「できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない」という注意義務も課されております。
これらの規定は、自動車だけでなく自転車にも適用されますので、自転車であってもこれらを守らないと、法に違反することとなります。

10 一時停止違反


これも説明するまでもないでしょうが、交差点の手前に一時停止の道路標識があれば、自転車であっても、停止線の直前で一時停止をしなければなりません。

11 歩道の歩行者妨害等


歩道のある道路において自転車は、原則としては車道を通行しなければなりませんが、条件により歩道を通行できる場合もあります。
この場合において歩道を通行する自転車は、歩道の中央から車道寄りの部分を、(歩行者の有無に関わらず)徐行しなければならず、また歩行者の妨害となる場合には一時停止しなければなりません。
これらの規定に一つでも違反することは、危険行為の対象となります。
なお、歩道を通行できる条件を満たしていないにも関わらず歩道を通行した場合については、4つ目の「通行区分違反」に該当します。

12 ブレーキなし自転車等


自転車には、前輪と後輪の両方に、所要の性能を満たすブレーキをつけなければならず、全くブレーキがない自転車はもとより、片方にしかブレーキがない自転車についても、運転をすれば法に違反することとなります。
なお、両輪にブレーキがついていたとしても、劣化などにより所要の性能を満たしていなければ同様の違反に該当することとなります。

13 酒酔い運転


自転車も飲酒運転が禁止されていることはご存知だと思いますが、いわゆる「酒酔い運転」については、『危険行為』に該当することとなります。
なお、いわゆる「酒気帯び運転」は、『危険行為』には含められておりません。

14 安全運転義務違反


ごく大雑把に言えば、事故を起こさないよう十分に注意して運転をするという義務が、自転車・自動車を問わず車両の運転者に幅広く求められております。
やや実務的に言うと、交通事故を起こした際に、何らかの不注意があってそれが事故の原因と判断されれば、この安全運転義務違反に問われ得ることとなります。
なお、傘さし運転や、大音量で音楽等を聞きながらの運転、スマホをいじりながらの運転については、直ちに安全運転義務違反になるとは言えないため、これらの行為であっても、必ず危険行為に該当するわけではありません。

『危険行為』に含まれていない違反(主なもの)


・車両通行帯のない道路における左側端寄り通行義務違反

・車両通行帯のある道路における第一通行帯通行義務違反

・並進禁止違反(並走)

・指定最高速度違反
 道路標識等で示された最高速度の違反です。

・追い越し方法違反
 前方車両の左側を通って追い越した場合など。

・割り込み禁止違反
 前方車両の側方を通過して前に出て、その車両の進路前方に割り込んだりすることなど。

・踏切における一時停止違反

・右折方法違反
 自転車は、いわゆる二段階右折・大回り右折によって右折しなければなりません。

・横断歩行者等妨害
 横断歩道を渡ろうとする歩行者がいるのに止まらなかった場合など。

・駐停車違反
 歩道への自転車放置も含まれます。

・無灯火

・合図(いわゆる手信号)不履行

・警音器使用制限違反
 歩行者をどける目的でベルを鳴らした場合など。

・乗車制限等違反
 二人乗りなど。

・自転車道通行義務違反

・自転車横断帯通行義務違反

・傘さし運転、大音量で音楽聞きながら運転、スマホいじりながら運転など
 ただし、これらの行為が原因で事故を起こせば、安全運転義務違反に問われ危険行為があったとみなされることも考えられます。

環状交差点、本日から施行

以前の記事にも書きましたが、改正道路交通法における環状交差点(いわゆるラウンドアバウト)の通行方法に関する規定が、本日、平成26年9月1日から施行されました。

(関連記事)
>> 環状交差点、平成26年9月1日から施行

以下に、環状交差点の通行において特に重要と思われる3つのポイントを、ご紹介したいと思います。
  • 環状交差点内車両優先
    ・・・環状交差点内を通行している車両が優先であり、進入車両は環状交差点内の車両の進行を妨害してはなりません。
  • 環状交差点は徐行
    ・・・環状交差点の通行時は、入るとき・出るときを含め、徐行しなければなりません。
  • 合図を出す時期
    ・・・環状交差点から出るときは、一つ前の出口を通過したときに、左折と同様の合図(ウィンカー・手信号)を出します。入って最初の出口から出る場合には、入ったときから合図を出します。
なお、この環状交差点に関する規定は、自動車だけでなく、自転車にも同様に適用されます。
そのため、自転車で環状交差点を通行する際も、自動車と同様上記の規定に従う必要がありますので、ご留意ください。

また、車両の優先関係についても、自動車・自転車の区別はありません。
そのため、例えば環状交差点に進入する自動車と環状交差点内を通行している自転車とでは、自転車の方が優先ということになりますので、この点もご留意頂ければと思います。

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