東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例第11条は守れません。

本日、東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例第10条に基づく「東京都自転車安全利用指針」と、同条例第20条に基づく「東京都自転車点検整備指針」が、東京都のウェブサイトに公開されました。

>> 「東京都自転車安全利用指針」・「東京都自転車点検整備指針」

ところで、この条例の第11条には、次のような規定が設けられております。

--------------------
(自転車利用者の技能及び知識の習得)
第11条 自転車利用者は、自転車の安全で適正な利用に必要な技能及び知識の習得に努めなければならない。
--------------------

この条文でいうところの「自転車の安全で適正な利用に必要な技能及び知識」が何なのかは、条例では明確化されておりませんものの、その一つ前の第10条に「自転車の安全で適正な利用に必要な技能及び知識が適切に習得され、 並びにそれらの普及が効果的に行われる」ことを目的に今般の「東京都自転車安全利用指針」を定めることとしていること、またQ&Aにて「自転車安全利用指針を作成し、交通安全課ホームページに公表する予定ですので、それをご活用ください。」と回答していることから、第11条で習得に努めるべき事項とは、すなわちこの指針に書かれている内容であると暗に言っているようなものかなと認識致しております。

しかし、この「東京都自転車安全利用指針」には、注意義務を含め道路交通法上の義務に基づくものでも何でもなく、しかも単なる安全上の話としても大いに疑問に感じる点が、多々ございます。
ざっと読んだ時点でも・・・(以下「東京都自転車安全利用指針」(PDF)と併せてお読みください。)


・停止するときは・・・早めに別表第1に記載した停止するときの合図を行い(P4)

 →その別表第1にある「合図を行う場所:停止しようとするとき」という説明と齟齬がありますが。


・車線境界線で区分けされた道路の部分を 「車両通行帯」といいます(P6)

 →車両通行帯は、あくまで道路標識・道路標示の「車両通行帯」(車両通行帯境界線など)で区分された道路(車道)の部分をいいます。車線境界線は区画線に過ぎず車両通行帯の道路標示ではありません。こんな基本的な誤りを載せちゃいけませんでしょ(汗)。


・車道を通行するときは、車道の左端を通行しなければなりません。(P7)

 →自転車の通行位置は、車両通行帯のない道路(一車線道路・片側一車線道路)であっても、あくまで「左側端に寄って」であり、決して左端ではありません。また、車両通行帯のある道路(片側二車線以上の道路)では、第一通行帯を通ればそれで良く、左側端に寄る義務すらありません。
 (なお、自転車は「左端」という表現がなぜ不適切なのかについては、簡単ではございますが、こちらにも紹介させて頂いて下ります。)


・自動車の交通量が多い場合は、無理をせず、自転車を押して横断歩道等を利用するようにしましょう。(P13)

 →「無理」って何? というか、どういう交通をしようとしている状況を想定しているのか、甚だ不明です。


・踏切では、自転車を押して渡るようにしましょう。(P15)

 →道路交通法上の義務がないのは言うまでもないことですが、安全上の話としてもその必要性を全く理解できません。知識として受け入れられません(笑)。


・・・とまぁ、ざっと読んだ段階ですら、これだけの数、とてもとても「習得に努める」気になれない事項が存在致します。
そのようなわけで、私はとても東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例第11条は守れそうにありません。
法令を守ることの重要性は十分認識しているつもりではございますが、これだけはどうしてもダメです。
何卒、何卒、お許しください(←どなたにともなく)。

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コメント

条例第11条、こんなにひどいものだったんですね。
私もこんなに馬鹿げた条例、守れません。

先進諸国、特に自転車先進国の自転車行政担当者がこのむちゃくちゃな条例を見たら、どう思うことか、東京都の交通行政のレベルの低さが露呈したようで、本当に恥ずかしく思いますよ。
東京都には、もっと世界の自転車行政について勉強して、自転車の安全な環境を作るためには自動車運転手への教育徹底及び、自動車規制取り締まりの強化徹底も必要な事実も学習すべし、と言えるでしょう。

交通の鉄則は弱者保護優先。日本はもっと自動車を抑制してでも自転車の安全で円滑な交通を実現する必要があります。それが先進国、法治国家の義務なのですから。
道路の制限速度を引き下げて、監視カメラやオービスを多数設置して1km超過からでも自動車を検挙し、速度を抑制。
自転車と自動車との速度差を狭め道路の安全性を高める施策もまだまだ足りておらず、自転車レーン整備率は先進国最低な日本。
東京都がするべきは、自動車を抑制してでも、駐車車両のない自転車レーン、先進国なら在って当たり前の自転車環境を整備することでしょう。
それすらせず不条理な条例を勝手に決めて勝手に押し付けるなど、まさに厚顔無恥(及び無知)そのものと言えます。
東京都は法治国家であり先進国の都市としての義務(自転車安全環境整備)ぐらい果たしてから自転車にモノを言いなさい、と強く思うところです。

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