[自転車横断帯シリーズ突然の最終回] 30m説を(一時)撤回します!

自転車が交差点を進行する際の自転車横断帯通行義務を定めた道路交通法第63条の7第1項でいうところの『付近』に関しまして、これまで、交差点の30mを越えて手前から視認できるかどうかを判断基準にすべきとの説を、この「自転車横断帯シリーズ」にて書き進めて参りました。
(この説のことを「30m説」などと呼んでる方がいらっしゃるそうで、ここでもそのように表現します。)

そして、今正月を迎えるに当たっては、何しろこのシリーズ、もう2年近くも前からスタートしているにも関わらず、いまだその半分程度しか書き進められておりませんもので、今年こそ執筆を進め完結させねばと決意を新たにしたものでした。

ところがそんなさなか、法務専門部会でお世話になってる先生から、この30m説を覆しかねない判決文を見つけたとの報告が舞い込みました。
早速その判決文を読ませて頂きましたところ、そこには自転車横断帯の設置様態の何をもって道交法63条の7第1項における『交差点又はその付近に自転車横断帯があるとき』に該当すると言えるかが示されており、またそれは、確かに30m説とは考え方が大きく異なるものでありました。
ただ、判決文で示されたものは、判決の直接の理由として示されたものではない(いわゆる「傍論」的なものの)ように感じられるなど、ちょっと私には素直に受け入れがたい点がいくつかございました。
しかしながら・・・

・こっちの方がスッキリしてて良くない?
・関係判例と齟齬がないどころかよく合致してるし。
・これと相反する判例もとりあえず見あたらないしね。
・何しろ、裁判官が示したものだからな。

などといった先生方のアドバイスもございましたもので、この度、まことに名残惜しいながらも、ついに弊30m説を撤回することと致しました次第でございます。


本件問題につきまして、まずは基本的なところを申しますと、交差点(当然ながら車道)を通行する自転車に道交法63条の7第1項に基づく自転車横断帯通行義務が生じるのは、次の2つの場合です。

1. 交差点(内)に自転車横断帯があるとき
2. 交差点の『付近』に自転車横断帯があるとき

そして、判決文当該箇所の趣旨に沿えば、道交法63条の7第1項が適用される自転車横断帯は、概ね次のとおりとなるとのことであります。

ア.交差点とは、道路交通法第2条第1項第5号の定義のとおり、車道の交わる部分をいう。


イ.上の「1」に当てはまる自転車横断帯設置様態は、次のような感じのものになる。


ウ.そして、上の「2」の様態は、次のように、自転車横断帯が交差点の外に完全に出ていないものである。


エ.よく見かける自転車横断帯は、交差点の外に完全に出ているため、道交法63条の7第1項としてはアウトである。


・・・いずれにしても、当初

 交差点の辺りに設けられた自転車横断帯は、
 その多くが、
 車道通行自転車に対し、
 通行義務の効力を有しない。

という認識に変化は生じないのですが、まぁしかし、考え方はかなり違いますね。

ちなみに、「2」に該当するような状況は、実際に存在しておりまして、例えば次の写真のケースがこれに当たります。

(道路標示が毀損していて効力に疑問が生じる点はここでは無視しておきます。)


そのようなわけで、この度弊30m説を撤回することと致したわけでございますが、しかし自転車横断帯の設置様態は必ずしも上の3つに限られるわけではなく、この解釈では説明が困難なケースも存在すると思われます。
そのため、今般の撤回は、撤回は撤回でも、標題のとおり「(一時)撤回」でございます。
自転車横断帯については、今後も引き続き研究を行い、適切な解釈を追い求めて参りたいと考えております。

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コメント

こんにちは、いつも興味深く拝見させていただいております。
その判決文、該当する箇所だけでも、どのような内容か一読してみたいのですが、ネット上にありますでしょうか?
なければ、判決文を特定する何かの情報だけでも教えていただけるとうれしいです。
自転車の廃校かとして、万が一自転車横断帯を通っていない!と指摘されたときのために、理論武装しておきたいと思いましたので。

廃校か・・・愛好家でした。(^^;)

おっくん様

今般の判決文は、ネットには公開されていないようです(ひょっとしたら有料サービスのサイトにはあるかもしれませんが・・・)。
また、私の発見したものではないため、現時点では簡単な紹介にとどめさせて頂いておりますが、発見者が論文に引用するとのことですので、その際に広く公開されることになるかと存じます。

なお、当法人で収集した資料の公開に関する全般的な話をさせて頂ければ、当法人で公開した資料が無断で商用あるいは自己の知名度の向上など不適切な目的で使用される例が相次いでいるため、これらへの対策が整うまでの間は、公開をある程度控えさせて頂くことと致しております。
なお、一般の方向けの情報提供等はこれまで同様に行って参りたいと思います。

こんばんは。

>無断で…自己の知名度の向上など不適切な目的で使用される例が相次いでいる

これ、ツイッターで見たことありますよ。
そいつは、最初はさも自分の知識のようにひけらかしてたんだけど、とことん問い質してみたら、ここのブログに書いていたと白状しましたw

その判例に基くと、図イの場合は右側の歩道を走っていた自転車も、交差点内に入る必要があるのでしょうね。
そもそも、車道を走っていた自転車と、右側の歩道を走っていた自転車との交差が、2度も生じる自転車横断帯がなぜ作られたのか、疑問を感じざる得ません。
最近都内を走ると結構消した跡があって、本当にやってるんだなぁ、と実感します(笑)
余談ですが、今まで自転車横断帯と交差点との間に空間がなかった場所については、自転車横断帯のあった場所まで横断歩道を拡幅すると、二段階右折時の退避場所がなくなってしまうため(そもそも、横断歩道と交差点の間に空間がない場所では、どこで退避していればいいのでしょう?)、そういった場所では横断歩道の拡幅はしない等の、柔軟性を持った施工をしてもらいたいものですね。

こんにちは。
以前、図イのような自転車横断帯を見たことあります。
そこには、図エのような自転車横断帯も一緒に設置されていて、またいずれも両側に設置されてたので、山さんがおっしゃるような問題はありませんでした。

判例以前の問題かもしれませんね。
交差点の定義は一番の上が絵(ア)で正解です。
ここから出ると交差点ではなくなります。
よって、(エ)の絵だと左折→右折→直→右折→左折となりますが、
この運行方法ですと、左折した時点で交差点及び交差点手前30mから外れます。
よって30m手前で指示器か手信号が必要ですが30mには遠く足りないので方向指示に関する違反にあたります。

判例が公表できないとの事なのですが、
想像するに数年前の判決だと思うのですが、
原付バイクの二段階右折の事故ではないですか?
二段階右折の危険性を騒いだ時期の判例かなと思うのですが。
これはバイク側が適切に二段階右折をしたものを安全運転義務違反と二段階右折の方法と指示器(左折)違反に問われたものだったと思います。
このときの原付の左方向への移動は約1m程度で、この左への移動が違反扱いになった事故だったかと。
つまり、バイクは指示器無しで左折扱いされていたと思います。
(エ)の絵の場合、同じか場合によってはそれ以上の左への移動量になるのでアウト。

大変参考になりました。

警視庁のHPにはこのように明記されています。これは歩道を走行してきた自転車は、という限定付きでしょうか。そうならそうと明記すべきだと思うのですが。
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotu/bicycle_faq/administration/05.htm

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