[自転車横断帯No.04] 『付近』か否か、30m基準の理由

ブログの更新がすっかりご無沙汰で大変恐縮ですが、記事ゼロの月があるのも格好悪いので、平成24年2月最後の日である本日、意を決して書かせて頂きます!

注!
この記事の内容につきましては、現在は異なる解釈を採用致しております。
記事執筆者が当時このような考えにあったということでお読み頂ければと存じます。

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というわけで、車道通行自転車は交差点で自転車横断帯を通らなくても良いなる説に関する説明の続きでございます。
前回の記事では、交差点の辺りに設けられた自転車横断帯の設置位置が道路交通法第63条の7でいうところの『付近』に該当すると判断するための条件、言い換えれば、交差点で自転車横断帯を目にしたときにそこを通るべきかを判断するための条件を、2つ紹介させて頂きました。

(1) 自転車横断帯の道路標示を交差点の30mを越えて手前において明確に視認できるか否か
(2) その自転車横断帯の始点に現在の通行位置から安全かつ円滑に進入できると即座に判断できるか否か

今回の記事では、その第1番目の条件について、「ではなぜ30mを越えて手前において視認できる必要があるのか」についての説明をさせて頂きたいと思います。

その理由はすこぶる簡単。
交差点の外側に設置された自転車横断帯を通るには、交差点において左折する必要が生じます。
また、左折する際には、道路交通法第53条第1項及びこれに基づく道路交通法施行令第21条[*1]により、交差点の30m手前において左折の合図を行う義務が生じます。
そのため、もし30mを越えて手前において視認できない自転車横断帯についても道路交通法第63条の7第1項の通行義務が生じると解釈すれば、合図義務との矛盾が生じてしまいます。
法律的矛盾が生じる解釈は、誤った法解釈にほかなりません。
これらのことから、交差点の30mを越えて手前において視認できない自転車横断帯については、道路交通法第63条の7第1項の通行義務が生じるとは解釈できない・・・すなわち同条同項で言うことろの『付近』には該当しないという結論に至るわけでございます。
うん、実に簡単ですね。

ここで、ひょっとしたら「法の矛盾なら、手信号義務と安全運転義務との間でも生じる。矛盾があるからといって誤りとは言えないのではないか?」との疑問を呈される方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、合図義務と『付近』の解釈との関係は、手信号義務と安全運転義務の「明文規定間の関係」ではなく、「明文規定 vs 解釈」の関係となります。
明文規定間に生じた矛盾であれば、法の目的や他の条文による規定、裁判例等に基づいてその優先順位を判断することとなりますが、明文規定と解釈とでは、明らかに明文規定が勝ります。
明文規定による義務を覆すこととなる法解釈は、誤った法解釈となります。
そのため、やはり30mを越えて手前で視認できない自転車横断帯の設置位置を、道路交通法第63条の7第1項で言うところの『付近』に該当するという解釈は成立しようがないわけです。

ところで、第1番目の条件には、「交差点の30mを越えて手前において『明確に』視認できるか否か」となっております。
では、30mを越えて手前において、どの程度のものが見えていれば、明確に視認できると言えるのか。
実はこの点については、割と厳しめの裁判例もさることながら、自転車の交通に係る不適切な道路行政・交通規制行政もあいまって、かなり厳格な条件を付けざるを得ないこととなります。
次回は、この点について書いていきたいと思います。



*1 道路交通法施行令第21条

法第53条第1項に規定する合図を行なう時期(中略)は、次の表に掲げるとおりとする。
左折するとき:その行為をしようとする地点(交差点においてその行為をする場合にあつては、当該交差点の手前の側端)から30メートル手前の地点に達したとき。

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コメント

せがわ和尚さん、こんばんは。

◇自転車で走行中に30mを確認する手段は?
◇信号待ちで停止した場合は?
◇"自転車横断帯"があるのを知っている人は?

同じ場所にある"自転車横断帯"の通行義務が
人や交通の状況によって変わるというのは、
おかしな話だと思います。

せがわ和尚さん、こんばんは。

後から読むと、ちょっと意味不明の質問になってますね、すいません。m(__)m
ちょっと論点を変えます。
道路標示は、対面する交通に対して設置するのが原則のはずではないでしょうか?
従って、車道通行の自転車に対面する位置にない
"自転車横断帯"は、通行する義務が生じない、
と主張するのが自然だと思います。
多分、警察や公安委員会もわかっているはずですよ。
車道から自転車横断帯へのルートが明確に示された図を
個人のサイト以外で見たことがないですから。
このことを突き詰めれば、道路交通法第63条の7第1項は、
不要なルールになると思います。

some様
放置プレイ気味になって恐縮です。

2つ上に頂いたコメントにつきましては、自己解決なされたようですが、答えさせて頂ければ・・・、
・30mは、理屈上は30mですが、実際の通行においては自動車の運転と同様「だいたい30m」ということで差し支えないでしょう。
・信号待ちで停止した際に、交差点外側の自転車横断帯の存在に気付いた場合でも、その設置位置が道路交通法第63条の7第1項でいうところの『付近』に該当しなければ、交差点直進自転車は同条項による通行義務を負わないこととなります。
・自転車横断帯の存在を知っていたとしても、その設置位置が道路交通法第63条の7第1項でいうところの『付近』に該当しなければ、交差点直進自転車は同条項による通行義務を負わないこととなります。
なお、自転車横断帯義務以外のことまで話を広げれば、「通行義務が人や交通の状況によって変わる」ことは、実のところ起こり得ます。話せば長くなりそうですので、機会を改めて事例を紹介いたしたいと思います。

一つ上に頂いたコメントにつきましては、「対面する交通に対して」というのは信号機の規定であり、道路標識等については、そこまでは求められておりません。
道路を通行する者が、通常の注意義務の範囲において、適切なタイミングで容易かつ確実に道路標識等を認識できれば、必ずしも交通に対面している必要はないこととなります。
なお、自転車横断帯については、平成20年の道路交通法施行令改正により、もはやその役割は終えたものと感じておりまして、私も自転車横断帯に関する規定はもはや不要と考えております。

せがわ和尚さん、たびたびです。

>道路標識等については、そこまでは求められておりません。

天候や時間、他の交通に関わらず、対象となる交通を規制す最善の方法は、対面に設置することです。
当然、せがわさんの主張する ↓△両魴錣睨足することができます。
そして、それを求めるのは、規制を受ける側の我々です。
法律に明文化されていないからといって、行政が適切な運用をできないのであれば、法改正が必要でしょう。
これもまた、原則論ですが、法律のグレーゾーンは、あってはならないものです。
他にもあるからというのは、理由にはならないです。
下衆な書き方になってしまいますが、"法の抜け道"を知って
知っている人だけが得をするだけですから。
まあ、こんなことを書いても、どうにもならないのが現実ですが。

some様
確かに、現実には「対面に設置」じゃないと、認識が困難な場面が多そうですね。
今後の活動の参考とさせて頂きたいと思います。

ツイッターで、この説に批判的な弁護士のツイートを目にしましたが、明確な反論とはなっていませんでした。(URL欄にそのツイートのアドレスを書きました。)
この説は、弁護士ですら法律論で反論できない、法的に正しい理論なのだと感じました。

JBL様
批判的かどうかまではちょっと分かりませんでしたが・・・法律に通じた方々による検証がなされるのは良いことだと思いますので、当法人の法務専門部会員以外の法律職者の方々にも、自転車に関する道路交通法令に「真摯に」目を向けて頂ければと願っております。

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