左折レーン+左折矢印信号の交差点直進方法(1)

手前に左折レーンがあって、信号機が左折矢印信号を示す交差点を、自転車で直進するには、どうしたら良いか?
・・・という問題があります。

なぜこのような問題が生じるかと申しますと、自転車は車両通行帯の設けられた道路(いわゆる片側二車線以上の道路)では一番左の車線を通らなければならず、そしてそれは左折レーンが設けられた道路であっても例外ではないからです。
そのため、交差点を直進したいと思う自転車が、左折レーンから直進しようとすれば(そしてそうするよりほかない。)、左折自動車との交通の交錯が生じるという問題が生じるわけでございます。

この問題の解決策となる通行方法、実は以前の記事でチラリと解説したことがあるのですが、多くの車道通行優良自転車利用者の皆様にはお馴染みの通行方法と思っておりましたもので、その後あえて記事にしておりませんでしが。
ところが今般、その通行方法をご存じない方が思いのほか多くいらっしゃることに気が付きましたので、標記のテーマについて書いてみることと致しました次第でございます。


今回想定致しております道路は、交差点の手前に左折レーンがあり、また青信号の前に左折矢印信号が示される信号機が設置されております交差点でございます。


(「何で右折レーンがないんだ?」というツッコミはご容赦ください。)

さて、自転車は冒頭に書きましたとおり、車両通行帯が設けられた道路では、一番左の車線を通らなければなりません。
ですので、この交差点を直進したい場合でも、自転車は原則として[*1]一番左の車線である左折レーンを通って交差点に進入することとなります。
直進レーンからの交差点進入は、原則として[*1]認められないのです。


しょうがないので、とりあえず自転車の車道通行のセオリーに従い、車道の左端に近い部分を通ろうとしてみます。

左折矢印信号が出ている間は、停止線を越えて直進することはできませんから、停止線手前で青信号に変わるのを待ちます。

その間、左折自動車が次々とあなたの右横を通り左折していくことでしょう。

そして、いざ青信号となり、直進しようとしてみても・・・、

交通状況によっては、左折自動車との交錯が生じ、直進するにはかなり困った状況[*2]に陥ってしまいます。

そこで思い出して頂きたいのが、道路交通法第18条と第20条との違いです。
道路交通法第18条は、車両通行帯の設けられていない(片側一車線)道路に関する条文で、自転車については車道の左側端に寄って通行する旨が規定されております。
これに対し道路交通法第20条は、車両通行帯の設けられている(片側二車線以上)道路に関する条文で、自転車については左から一番目の車線を通ることのみが規定されており、第18条のような左側端通行までは規定されておりません。
そして、左折レーンが設けられた道路は、これすなわち車両通行帯が設けられた道路、自転車は一番左の車線内であればどこを通行しても問題ありません。

そのようなわけで、このような交差点を直進するには、左折レーンの右端ギリギリの所に位置することを、お勧めいたします。

右端といえど、一番左の車線内。道路交通法第20条に従っており、適法です。

そして、この位置であれば、左折矢印信号の間も、

青信号に変わり直進するときも、

交通の交錯がほとんど生じません。
また、左折自動車のドライバーからすれば、自転車が運転席側にいることになり、自転車の存在に気付きやすい上に、側方間隔の調整も簡単になり、安全性がグンと向上します。
左折レーン+左折矢印信号の交差点を自転車で直進するための方法としては、安全・適法・円滑の全てを備えた、優れた通行方法[*3]と言えるのではないかと思料いたすものでございます。


・・・なお、一番左の車線内とは言え、その右端に移動するには、若干の「慣れ」が必要です。
もし安全かつ円滑に車線右端に移動することに困難を感じられたならば、一時的に歩道を通らせて頂くか、一旦左折して自転車横断帯が設けられた場所で交差道路を横断するなど、臨機応変に対応されるのがよろしいことでしょう。



*1 原則として
実は、いろいろと条件がありますものの、道路交通法に反することなく直進レーンを通って直進するという方法もございます。
この方法につきましては、次の機会にご紹介いたしたいと思います。

*2 困った状況
実は、自動車のドライバーの皆様が交通ルールをきちんと守り、道路交通法第34条第1項に従い徐行で左折をしていれば、こんな困った状況は起こらず、今回の記事のような応用技を使う必要もないのですがね・・・。

*3 優れた通行方法
左折レーンが2本ある道路では対応困難なので、「最善」とまでは言えませんが・・・。
・・・と言うか、こんなパズルを解くように通行方法を考えなければ安全・円滑に通れない道路を作り続けてきた行政施策にそもそもの問題があるのでは? と個人的には感じております。

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コメント

やっぱりこれしかありませんよねえ。
でもって左折車がこの法律を知らなかったりすると(まあほぼ100%知らないでしょうけど)、クラクション鳴らされたり怒鳴られたり……。

自転車はツライですね。

交差点の改善要望を根気強くお願いしていくしかないですね。

この信号待ちの方法は先日、三笠記念公園への途中で実施しました。
所が私の後ろにビッグスクーターが同じように停止したせいで、クルマ(特に大型車両)からクラクションを鳴らされました。

結論、『左折専用レーンなんぞ作る方が悪い!』

瀬川さん
非常にわかりやすい絵入りの解説、どうもありがとうございました。
左折レーンの右端か、直進レーンの左端か、ともかくその位置に直進自転車の進むべき道があると私も思います。
海外の道路によくあるパターンですよね。

今ひとつはっきりしないのでツイッターには書きませんでしたが、今日警察で聞いた話では、通行区分のある交差点で、例えばクルマが右折する際には、キープレフトの原則が一旦解除されることになるので、それに近い考え方で、軽車両についても左端の車線を通らなければならないルールが解除されると考えられるかもしれないという、あやふやな話も耳にしました。
その辺はいかがでしょうか。

じてんしゃのみせ 道[タオ]様
はい、私も以前は、車両通行帯が設けられた道路における自転車の通行位置に関する規定については、全く知りませんでした(笑)。
自転車が通行することも想定した道路整備や、自動車ドライバーに対する自転車の通行方法の啓発などが、今後おとずれる(かもしれない)自転車車道通行時代の課題かなと考えております。

化け猫常務理事殿
左折レーン、自転車利用時はもとより、自動車や原付に乗ってるときにも、けっこう困ります(汗)。

タニグー様
自動車が右折時にキープレフト原則が解除されることにつきましては、道路交通法に確たる根拠があるのですが、自転車の左端ないし左車線通行につきましては、少なくとも法律上は、前方車両を追い越す場合と、障害物や道路工事を避ける場合などのやむを得ない場合に限られております。
ただ、警察による道路交通法の「運用」という話であれば、何らかの緩和がなされるなど、厳密な法解釈とは異なる取り扱いがなされることもあるかもしれません。

今日、左折レーンが2車線ある交差点を自転車で直進しようとした時に、警察官に停められました。
左折車か対面からの右折車がいるときは危険なので左折レーンからそのまま歩道に上がり、
歩自信号に従って自転車横断帯を渡るのですが、
今日は左折車も対面からの右折車もいなかったので左折レーンから直進したら、停められました。
その警官によると、やはり「自転車横断帯を通れ」とのことでした。

車道通行自転車が自転車横断帯を通る必要は全くないと思っているのですが…

ともあれ「自転車横断帯を通らなくても良い」の続きを楽しみにお待ちしています。

てくいち様
ちょっと最近いろいろと立て込んでおりまして、なかなか記事執筆が進まず恐縮です。
4月になったら再開できるかと思いますので、いましばらくお待ち下さい。。

*2 困った状況
実は、自動車のドライバーの皆様が交通ルールをきちんと守り、道路交通法第34条第1項に従い徐行で左折をしていれば、こんな困った状況は起こらず、

まったくもって痛感いたします。
日本は自動車ドライバーの、自転車に対する接し方にも極めて問題的な運転が横行していますし、それらを、本来は警察等が連携してきちんと秩序立たせることが当たり前なんですよね。

佐藤様
自動車は、左折ではスピードを落とすこともなく、右折に至ってはスピードを上げて突っ込んでくるほどですので、自転車で交差点を通過する際にはこういった傍若無人な自動車にヒヤリとさせられることがございます。
右左折時の徐行も、しっかりと啓発されるようになればと思ってます。

こんにちは。
やっと長年の疑問がはれました。
それにしても、車の右で信号待ちしてるときは
妙に居心地が悪いものです。

アビタシオン戸津川様
弊記事が参考になって幸いです。
車両通行帯が設けられた道路において自転車は第一車両通行帯内であればどこを通っても良い旨の法規定は、少々誤解を受けることもあるようですが、安全かつ円滑な交通にも資するものと認識致しております。
なお、車の右で信号待ちすることについては・・・経験談で申せば、慣れるしかないかと思います。

左折レーンの交差点では、その起点から交差点の停止線にかけて自転車レーンも設置するようにしてもらいたいですね。
あと、左折矢印の後は青信号でなく直進矢印にすればGoodです。

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