[自転車横断帯シリーズ突然の最終回] 30m説を(一時)撤回します!

自転車が交差点を進行する際の自転車横断帯通行義務を定めた道路交通法第63条の7第1項でいうところの『付近』に関しまして、これまで、交差点の30mを越えて手前から視認できるかどうかを判断基準にすべきとの説を、この「自転車横断帯シリーズ」にて書き進めて参りました。
(この説のことを「30m説」などと呼んでる方がいらっしゃるそうで、ここでもそのように表現します。)

そして、今正月を迎えるに当たっては、何しろこのシリーズ、もう2年近くも前からスタートしているにも関わらず、いまだその半分程度しか書き進められておりませんもので、今年こそ執筆を進め完結させねばと決意を新たにしたものでした。

ところがそんなさなか、法務専門部会でお世話になってる先生から、この30m説を覆しかねない判決文を見つけたとの報告が舞い込みました。
早速その判決文を読ませて頂きましたところ、そこには自転車横断帯の設置様態の何をもって道交法63条の7第1項における『交差点又はその付近に自転車横断帯があるとき』に該当すると言えるかが示されており、またそれは、確かに30m説とは考え方が大きく異なるものでありました。
ただ、判決文で示されたものは、判決の直接の理由として示されたものではない(いわゆる「傍論」的なものの)ように感じられるなど、ちょっと私には素直に受け入れがたい点がいくつかございました。
しかしながら・・・

・こっちの方がスッキリしてて良くない?
・関係判例と齟齬がないどころかよく合致してるし。
・これと相反する判例もとりあえず見あたらないしね。
・何しろ、裁判官が示したものだからな。

などといった先生方のアドバイスもございましたもので、この度、まことに名残惜しいながらも、ついに弊30m説を撤回することと致しました次第でございます。


本件問題につきまして、まずは基本的なところを申しますと、交差点(当然ながら車道)を通行する自転車に道交法63条の7第1項に基づく自転車横断帯通行義務が生じるのは、次の2つの場合です。

1. 交差点(内)に自転車横断帯があるとき
2. 交差点の『付近』に自転車横断帯があるとき

そして、判決文当該箇所の趣旨に沿えば、道交法63条の7第1項が適用される自転車横断帯は、概ね次のとおりとなるとのことであります。

ア.交差点とは、道路交通法第2条第1項第5号の定義のとおり、車道の交わる部分をいう。


イ.上の「1」に当てはまる自転車横断帯設置様態は、次のような感じのものになる。


ウ.そして、上の「2」の様態は、次のように、自転車横断帯が交差点の外に完全に出ていないものである。


エ.よく見かける自転車横断帯は、交差点の外に完全に出ているため、道交法63条の7第1項としてはアウトである。


・・・いずれにしても、当初

 交差点の辺りに設けられた自転車横断帯は、
 その多くが、
 車道通行自転車に対し、
 通行義務の効力を有しない。

という認識に変化は生じないのですが、まぁしかし、考え方はかなり違いますね。

ちなみに、「2」に該当するような状況は、実際に存在しておりまして、例えば次の写真のケースがこれに当たります。

(道路標示が毀損していて効力に疑問が生じる点はここでは無視しておきます。)


そのようなわけで、この度弊30m説を撤回することと致したわけでございますが、しかし自転車横断帯の設置様態は必ずしも上の3つに限られるわけではなく、この解釈では説明が困難なケースも存在すると思われます。
そのため、今般の撤回は、撤回は撤回でも、標題のとおり「(一時)撤回」でございます。
自転車横断帯については、今後も引き続き研究を行い、適切な解釈を追い求めて参りたいと考えております。

[自転車横断帯No.04] 『付近』か否か、30m基準の理由

ブログの更新がすっかりご無沙汰で大変恐縮ですが、記事ゼロの月があるのも格好悪いので、平成24年2月最後の日である本日、意を決して書かせて頂きます!

注!
この記事の内容につきましては、現在は異なる解釈を採用致しております。
記事執筆者が当時このような考えにあったということでお読み頂ければと存じます。

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というわけで、車道通行自転車は交差点で自転車横断帯を通らなくても良いなる説に関する説明の続きでございます。
前回の記事では、交差点の辺りに設けられた自転車横断帯の設置位置が道路交通法第63条の7でいうところの『付近』に該当すると判断するための条件、言い換えれば、交差点で自転車横断帯を目にしたときにそこを通るべきかを判断するための条件を、2つ紹介させて頂きました。

(1) 自転車横断帯の道路標示を交差点の30mを越えて手前において明確に視認できるか否か
(2) その自転車横断帯の始点に現在の通行位置から安全かつ円滑に進入できると即座に判断できるか否か

今回の記事では、その第1番目の条件について、「ではなぜ30mを越えて手前において視認できる必要があるのか」についての説明をさせて頂きたいと思います。

その理由はすこぶる簡単。
交差点の外側に設置された自転車横断帯を通るには、交差点において左折する必要が生じます。
また、左折する際には、道路交通法第53条第1項及びこれに基づく道路交通法施行令第21条[*1]により、交差点の30m手前において左折の合図を行う義務が生じます。
そのため、もし30mを越えて手前において視認できない自転車横断帯についても道路交通法第63条の7第1項の通行義務が生じると解釈すれば、合図義務との矛盾が生じてしまいます。
法律的矛盾が生じる解釈は、誤った法解釈にほかなりません。
これらのことから、交差点の30mを越えて手前において視認できない自転車横断帯については、道路交通法第63条の7第1項の通行義務が生じるとは解釈できない・・・すなわち同条同項で言うことろの『付近』には該当しないという結論に至るわけでございます。
うん、実に簡単ですね。

ここで、ひょっとしたら「法の矛盾なら、手信号義務と安全運転義務との間でも生じる。矛盾があるからといって誤りとは言えないのではないか?」との疑問を呈される方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、合図義務と『付近』の解釈との関係は、手信号義務と安全運転義務の「明文規定間の関係」ではなく、「明文規定 vs 解釈」の関係となります。
明文規定間に生じた矛盾であれば、法の目的や他の条文による規定、裁判例等に基づいてその優先順位を判断することとなりますが、明文規定と解釈とでは、明らかに明文規定が勝ります。
明文規定による義務を覆すこととなる法解釈は、誤った法解釈となります。
そのため、やはり30mを越えて手前で視認できない自転車横断帯の設置位置を、道路交通法第63条の7第1項で言うところの『付近』に該当するという解釈は成立しようがないわけです。

ところで、第1番目の条件には、「交差点の30mを越えて手前において『明確に』視認できるか否か」となっております。
では、30mを越えて手前において、どの程度のものが見えていれば、明確に視認できると言えるのか。
実はこの点については、割と厳しめの裁判例もさることながら、自転車の交通に係る不適切な道路行政・交通規制行政もあいまって、かなり厳格な条件を付けざるを得ないこととなります。
次回は、この点について書いていきたいと思います。



*1 道路交通法施行令第21条

法第53条第1項に規定する合図を行なう時期(中略)は、次の表に掲げるとおりとする。
左折するとき:その行為をしようとする地点(交差点においてその行為をする場合にあつては、当該交差点の手前の側端)から30メートル手前の地点に達したとき。

[自転車横断帯No.03] 『付近』か否か、自己判断のポイント2点

一つ前の記事で、自転車横断帯が道路交通法第63条の7第1項で言うところの「交差点の『付近』」にあるか否か・・・砕いて申せば自転車横断帯を通るべきか否か・・・の判断は、自転車の運転者が自ら判断するものである旨を書きました。

これを実際の通行に即して申せば・・・、

1.自転車を運転して車道を通行している。
2.前方に交差点が見えてきた。(そしてその交差点を直進したい。)
3.交差点の辺りに自転車横断帯を発見した。
4.その自転車横断帯の設置位置は、直進しようとしている交差点の『付近』か!?を自己判断する。

   ↓
(自己判断の結果)
A.『付近』と判断した。
 →自転車横断帯を通行する。
B.『付近ではない』と判断した。
 →自転車横断帯を通らずそのまま直進する。
C.判断がつかなかった・・・。
 →そのまま直進しないと危ない(ので自転車横断帯を通らずそのまま直進する)。

・・・ということとなります。

何しろ、このシリーズで取り上げている道路交通法第63条の7第1項には、自転車横断帯がどのような位置にある場合に自転車に対する通行義務が生じるかについて、何ら具体的に書かれておりませんので、自転車運転者がどうしても自己判断しなければならないのです。
道路交通法令の他の条文・・・例えば合図(手信号)に関する条文では、『3秒前[*1]』『30メートル手前[*2]』などと具体的に規定されているのに、こと自転車横断帯についてはそのような具体的記述が一切ない、このことからも、自己判断に委ねられていることが明らかでございます。

しかし、では自転車利用者が各自勝手に判断して構わないかと問われれば、そうではありません。
自己判断を行うに際しては、道路交通法令、その他道路を通行するに際し社会通念上果たすべき注意義務を考慮した上でなければなりません。
もし、道路交通法令や自転車運転者が果たすべき注意義務などを考慮せずに、自転車横断帯通行義務の有無について誤った判断をしてしまい、そのことが原因で交通事故等が発生すれば、民事上の相応の責任を負うこととなります。
不適切な「自己判断」は、民事責任[*3]の原因となり得るのです。

注!
この先の内容につきましては、現在は異なる解釈を採用致しております。
記事執筆者が当時このような考えにあったということでお読み頂ければと存じます。

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では、交差点に接近中に自転車横断帯を目にしたならば、いかなる点に着目して、その自転車横断帯が法第63条の7第1項で言うところの『付近』に該当するか否かを判断すれば良いか。
道路交通法令等の目的や法令に定められている自転車の通行方法を考慮すれば、様々な条件が考えられます。
しかし、自転車の運転中にそれほどたくさんの条件判断を行うのは現実的ではないでしょう。
また、自転車運転者が目にする光景を元にした条件でなければ、判断条件として掲げても自転車利用者にとっては何の役にも立たないでしょう。
そこで、車道を通行する自転車利用者の立場に立って、自転車横断帯を目にしたときに、それが法第63条の7第1項による通行義務を課すものであるかの条件を、次のわずか2点に絞ってみました。

(1) 自転車横断帯の道路標示を交差点の30mを越えて手前において明確に視認できるか否か
(2) その自転車横断帯の始点に現在の通行位置から安全かつ円滑に進入できると即座に判断できるか否か

少なくとも、この2つを満たすような位置に自転車横断帯が設けられていれば、その自転車横断帯は、法第63条の7第1項で言うところの『付近』に設置されているとみなし得る[*4]こととなります。
ですので、2つの条件いずれについても自信を持ってYES!と言い切れるのであれば、その自転車横断帯を通行されることをお勧めします。

しかし、これらの条件のどちらか片方でも満たされない場合に、自転車横断帯を通れば、その自転車運転者は必ず何らかの道路交通法違反行為を犯してしまいます。
上に掲げた2条件は、「自転車横断帯を通っても法令違反にならないかどうか」の条件でもあるのです。
ですので、上で「自信を持ってYES!と言い切れるのであれば」とさらなる条件付けを致しましたが、逆に一つでも自信を持ってYES!と言い切れない条件があれば、他の道路交通法違反行為を犯す恐れが生じるため、自転車横断帯を通るべきではありません。

そして、少なくとも私がこれまで目にしてきた自転車横断帯の中で、上の2つの条件をいずれも満たしていると断言できるものは、2つしかありません。
それこそ数え切れないほど設置されている自転車横断帯の中で、わずか2つ。
「多くの自転車横断帯は車道通行自転車に対する道路交通法第63条の7第1項の通行義務の効力を有しない」というJABLaw説の理由の一つ[*5]は、ここにございます。

・・・というわけで、いよいよ(というか、ようやく)本題に入って参りました。
次回からは、これらの条件について、細かい説明を致して参りたいと思います。

【ここまでのまとめ】
自転車で車道を通行している。直進しようとしている交差点に自転車横断帯が見えた。このとき・・・、

・自転車横断帯を30mを越えて手前から明確に視認できた。
・かつ、今いる位置から自転車横断帯に安全円滑に進入できると即座に判断できた。

・・・のであれば、その自転車横断帯を通りましょう。
しかし、どちらか片方でも満たされないのであれば、そんな自転車横断帯は通らなくていいです。


--------------------
ここから先はオマケのお話。

冒頭の方で、自転車横断帯の設置位置が『付近』か否かは自転車運転者が自己判断する旨のことを書きましたが、これ以外にも、自転車運転者が自己判断しなければいけない事項は、けっこう存在します。

例えば車道の通行位置。
自転車は、片側一車線道路では、『道路の左側端に寄って』通行しなければなりません。
では、どの程度左側端に寄れば良いか、これは自転車運転者の自己判断に委ねられます。
私の経験から申せば、道路の左端のうち側溝の蓋など通行に適さない箇所を除いた部分の左端から、概ね1〜1.5mの範囲内を自転車のタイヤが通るようにするのが適当と考えますが、道路状況によっては、安全を確保するために、もっと道路の中央付近に寄るべき、むしろ道路の中央付近を通行すべきという状況も存在します。

道路交通法の目的は、交通の「安全」と「円滑」。
自己判断すべき通行方法については、とりあえずこの2点を念頭に判断されると良いでしょう。



*1 3秒前
進路変更の合図(手信号)は、3秒前に行います。

*2 30メートル手前
右左折の合図(手信号)は、30メートル手前で行います。

*3 民事責任
「あれ、刑事責任は?」
刑事責任は問われません。詳細は、しばらく後の記事で書こうかと思いますので、首をキリンのように長くしてお待ちください。

*4 みなし得る
実際のところ、これだけでは『付近』とは言い切れないのですが、とりあえずこの2点の条件をいずれも満たしていれば、まぁ『付近』と判断しても差し支えないレベルにはあるでしょう。

*5 理由の一つ
他にも理由はたくさんありますが・・・全てを書こうとするといつまでたっても完結しないので、最も実用的なものを取り上げることとしました。

[自転車横断帯No.02] 常識を捨てて『付近』の解釈を試みる

唐突ですが、民法には、「善意」「悪意」という単語がよく出てきます。
皆様は、これらの単語を目にしたとき、どういったものを想像するでしょうか。
法律を少しでもかじったことがある方でしたら、あぁあれのことねとピンとくるでしょうが、おそらく多くの方は、「親切心」とか「悪巧み」とか、そういったものを想像されることでしょう。
しかし、民法における意味は、端的に申せば「知らない」「知ってる」であります。
日常生活上の言葉遣いからすれば、ちょっと想像できないような意味ですが、しかし法律用語とはそういうもの、日常の常識にとらわれてしまったまま法律を読めば、時としてとんでもない勘違いを犯してしまいかねません。
そして、このシリーズで取り上げている道路交通法第63条の7第1項で用いられている『付近』についても、ひょっとしたら同じことが言えるかもしれません。
法第63条の7第1項で用いられている『付近』を、常識にとらわれたまま解釈してしまっては、ひょっとしたらとんでもない誤解をしてしまう恐れがあります。

--------------------
道路交通法第63条の7
自転車は、前条に規定するもののほか、交差点を通行しようとする場合において、当該交差点又はその付近に自転車横断帯があるときは、第17条第4項並びに第34条第1項及び第3項の規定にかかわらず、当該自転車横断帯を進行しなければならない。
--------------------

道路交通法に従った通行を心がけていらっしゃる優良自転車利用者の皆様でしたら、おそらくこの条文に対して、何らかの疑念を抱いていらっしゃることでしょう。
しかし、実際に自転車横断帯(「らしきもの」を含みます。)[*1]を目にすれば、その多くは、交差点(と感じている区域)[*2]から数メートル、せいぜい5メートルくらいしか離れていないように見えます。
常識的に考えれば、数メートル〜5メートル程度の距離は、十分に『付近』の範囲内です。
常識を尊重するならば、法第63条の7第1項に対して抱いた疑念は、引っ込めざるを得なくなってしまいます。

ですがちょっと待って下さい。
せっかく法律に対し疑念を抱いたのであれば、常識的思考のみを根拠にその疑念を引っ込めては、もったいないというものです。
せっかく法律に対し疑念を抱いたのであれば、法律に則った解釈を試みて、疑念に対する結論を導こうとするのが、(社会)科学的精神というものです。
何しろ、法律用語には時として常識が通じません。
常識を捨てて解釈を試みれば、何かが見えてくるかもしれません。

ここで、中には法律と聞いただけで拒絶反応を起こされる方もいらっしゃることでしょう。(私も、法律系資格のはしくれの試験を受験する前はそうでした(笑)。)
しかし、こと道路交通法は日常生活に密着した法律、また多くの方が運転免許試験を通じて一度は修得しているはずのもの、他の法律に比べればそれほどハードルが高いわけではありません。
実際に道路を通行しているときのことを思い浮かべながら、改めてこの条文を読み、そして常識にとらわれない解釈を試みてみるのも、なかなか楽しいかもしれません。

常識にはとらわれない解釈・・・かつて私がそれを試みたとき、私の思考は、次のような感じで進みました。

 付近かどうかを判断する際、通常は、「○メートル以内だから『付近』だ」「○メートル以上離れているから『付近』ではない」と考えがちである。
   ↓
 実際、道路交通法第12条第1項[*3]における『附近』については、裁判例の影響で、30m以内であると一般には言われている。
   ↓
 しかし、道路交通法第63条7第1項の『付近』を解釈する場合には、「○メートル以内だから」と考えてはならないのではないか。
   ↓
 では一体『付近』とは何だ・・・っていうか、そもそも誰が付近かどうかを判断するんだ。
   ↓
 ・・・はっ! 付近かどうかは、自転車運転者が自ら判断しなければならないんじゃないか!?

そうです。
道路交通法第63条の7第1項は、自転車運転者が交差点に接近した際に、自転車横断帯を発見したならば、まずはそれがこの条文で言うところの『付近』に該当するか否かを自己判断し、その上で付近に該当すると確信したならばその自転車横断帯を通らなければならない・・・というものなのです。
あまりに当たり前と言えば当たり前のことで、このことになかなか気付くことができなかったのは、端くれとは言え法律職者としてまことに赤面ものです。
しかし、まぁいずれにしろ、この根本原則に気付くことができ、とりあえず第一段階クリアとなりましたことです。

なお、自己判断ならば各自が勝手に判断しても良いのかと問われれば、法律はそう甘い世界ではなく、相当の理由をもって判断しなければなりません。
そこで次回は、道路交通法における「自己判断」について説明させて頂きたいと思います。


--------------------
ここから先はオマケのお話。

上で道路交通法第12条第1項における『付近』は30m以内と言われている旨のことを書きました。
また、以前の記事で、自転車が道路を横断(交差点の通過とは異なります。)をする際は、目安として30m以内に自転車横断帯がある場合にはその自転車横断帯を通らなければならないと言われている旨のことを書いたことがございます。

(その以前の記事)
>> [自転車横断帯No.00] 単なる横断なら自転車横断帯を通りましょう

だったら、法第63条の7第1項の『付近』も、法第63条の6と同じように、30m以内ということなのではないか・・・と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
何しろ、隣り合った条文で、同じ『付近』という言葉を使っているのですから、意味も同じだろうと思われるのも無理からぬことです。

しかし、法第63条の7第1項には、『前条に規定するもののほか』という文言が入っております。
この文言があるということは、『前条(道路交通法第63条の6)の状況設定はさておき』という意味が含まれることとなります。
そのため、法第63条の7第1項でいうところの『付近』とは、前条(法第63条の6)でいうところのそれとイコールとは言えない、むしろ異なる状況設定である可能性を考慮すべきものとなります。
これについても、日常的な言葉遣いからするとなかなか難解に感じられることでしょうが、法律とはそういう風に読むものですので、そんなもんだと認識してください。
そのようなわけで、このシリーズで扱っている法第63条の7第1項の『付近』は30m以内であると自動的に解釈することは不適切となるわけでございます。
このあたり、法律をさらりとという程度にかじった方が陥りやすい部分と思いますので、オマケ話として書かせて頂きました次第です。



*1 自転車横断帯(「らしきもの」を含みます。)
標識令の様式に合致しておらず自転車横断帯としての効力そのものがない道路ペイントが実に多く、紛らわしいったらありゃしない・・・まことに困ったことでございます。
(関連記事) アホな自転車横断帯が改善されたが・・・

*2 交差点(と感じている区域)
交差点の範囲がどこまでかという話をし出すとキリがないのですが、道路交通法でいうところの『交差点』は、一般の方が思われているよりも狭い範囲だったりすることもございます。
適用される条文によっても交差点の範囲が異なってきたりするのが、またややこしいところですが・・・。

*3 道路交通法第12条第1項

(横断の方法)
第12条 歩行者は、道路を横断しようとするときは、横断歩道がある場所の附近においては、その横断歩道によつて道路を横断しなければならない。

[自転車横断帯No.01] 「自転車横断帯は通らなくても良い」について書き始めます。

一年の計は元旦にあり。
平成24年1月1日、ついに決断致しました。
多くの優良車道通行自転車利用者を悩ませる、かの自転車横断帯問題について、今年こそ本ブログで書きます!
(振り記事を書いてから1年近くも放っておいてまことに恐縮でございます。)

(振り記事)
>> 自転車横断帯は通らなくても良い・・・という記事を書きたい


道路交通法には、次のような条文がございます。

--------------------
道路交通法第63条の7
自転車は、前条に規定するもののほか、交差点を通行しようとする場合において、当該交差点又はその付近に自転車横断帯があるときは、第17条第4項並びに第34条第1項及び第3項の規定にかかわらず、当該自転車横断帯を進行しなければならない。
--------------------

自転車は、交差点を直進する際に、その「交差点の『付近」なる所に自転車横断帯がある場合には、その自転車横断帯を通らなければならない・・・という規定です。

そして、自転車横断帯は、その大半が、下図のように、交差点の少し外側に設置されています。



もし、このように設置された自転車横断帯の位置が、道路交通法第63条の7でいうところの「交差点の『付近」であるならば、この交差点を通る自転車は、自転車横断帯を通らなければならないこととなります。

またこの場合、交差点を直進するならば、自転車は次のような手順を踏まなければならないこととなります。

1.交差点の相当手前で、車道の「できるかぎり左側端」に寄り、徐行に移る。
2.左折する。
3.左折し終わるやいなや、右方向に急ハンドルを切り、その場で右90°方向転換する。
4.自転車横断帯を通行する。
5.自転車横断帯を通行し終えたならば、再び右方向に急ハンドルを切り、その場で右90°方向転換する。このとき、交差道路の「できる限り左側端」に位置する。
6.進行してきた道路及び左折先横断歩道等の交通を確認する。
7.進行してきた道路及び左折先横断歩道等の交通の妨害とならないことを確認したならば、徐行にて左折する。
8.左折し終わったならば、進行して来た道路を再び通行する。

・・・いやはや、大変です。
優良車道通行自転車利用者の方であれば、そんな義務などまっぴら御免とお思いのことでしょう。
そして、この道路交通法第63条の7に対し、憤りにも似た感情を抱いていらっしゃることでしょう。
私もかつてはそうでした。

しかしある時、ふと、こんな疑問を抱きました。


 その自転車横断帯は、車道通行自転車に対し、本当に道路交通法第63条の7の通行義務を課すものなのか?

 本当は、車道通行自転車はその自転車横断帯を通る義務は負わず、法律はそのままでも問題ないのではないか?


そして、研究に次ぐ研究・・・というと大げさですが、法令はもちろんのこと、各種文献、関連裁判例、改正法制定時における国会議事録、そして実際の自転車横断帯の設置状況を調査した結果、次の結論に至ったことは、振り記事に書きましたとおりでございます。


 交差点の辺り[*1]に設けられた自転車横断帯は、
 その多くが[*2]、
 車道通行自転車に対し、
 通行義務の効力を有しない。


なぜならば・・・
・・・その理由はいろいろとありますが、最も現実に即した理由を端的に申させて頂けば、交差点の辺り[*1]に設けられた自転車横断帯の多くは、道路交通法第63条の7でいうところの「交差点の『付近」に該当しないから、ということになります。
しかしその具体的理由は、とても1回の記事で書ききれる分量には収まりません。
そこで本ブログでは、多くの自転車横断帯が『付近』なる所には設けられていない旨を、不定期連載という形で説明して参りたいと思います。

論ずべき問題を整理させて頂きますと、次のとおりとなります。


 上図のようなよくある自転車横断帯の設置位置は、道路交通法第63条の7で言うところの「交差点の『付近」に該当するか?


ところで、多くの方は「いや、実際『付近』にあるじゃん!なに言ってんの?」と多大なる疑問をお感じのことと思います。
交差点から自転車横断帯を見て、その設置位置がどうしても「付近」としか感じられないあなた、ひょっとしたら、法理論とは関係のない日常生活上の常識に思考を邪魔されてはいませんか。
そこで次回は、法律上の用語を解釈する際には日常生活上の常識にとらわれてはならない旨を説明させて頂きたいと思います。



*1 の辺り
道路交通法第63条の7第1項にある「付近」とは異なります。
どう異なるかを説明し出すと、長くなりますので、詳細は後の記事にて・・・。

*2 その多くが
世の中には、車道通行自転車に対しちゃんと通行義務の効力を有する自転車横断帯も存在します。

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