ブレーキなし自転車で『逮捕』・・・の理由は「出頭に応じなかった」

本日、ブレーキが付いていない自転車を運転した者が逮捕されたというニュースが流れました。

(NHK NEWS WEB 『ブレーキない自転車で走行の疑いで逮捕』から引用)


自転車は、道路交通法第63条の9第1項の規定により、前後輪ともにブレーキが付いていなければならない[*1]ため、これに違反すれば、道路交通法違反という犯罪になります。
「5万円以下の罰金」という罰則も定められており、摘発を受ければ、刑事手続が行われることにもなります。

ところで、本件のような交通事故を伴わない道路交通法違反については、通常は逃亡・証拠隠滅等の恐れは考えられず、逮捕の必要性が生じないため、逮捕にまで至ることはありません。
ただ、ニュース報道によれば被疑者は『再三の出頭要請に応じてこなかった』とのことですが、このように出頭要請にいつまでも応じないでいると、比較的軽微な道路交通法違反であっても、「逃亡の可能性がある」とみなされ逮捕されることがあります。
本件の被疑者が逮捕されることとなった理由は、ブレーキなし自転車を運転したからというよりも(もちろんそれも罪として十分な理由なのですが)、むしろ「出頭に応じなかったから」だということが言えるでしょう。

報道の文言から、あたかもブレーキなし自転車を運転しただけで逮捕されるという印象を抱かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそういうわけではなく、本件でも、出頭要請にきちんと応じ、常識的に対応ていれば、逮捕されることはなかったでしょう。
そのため、本件ニュースは、「ブレーキなし自転車で逮捕」ではなく、「出頭に応じず逮捕」と読むのが妥当かと思います。

ちなみに、類似の過去の事例として、自動車のスピード違反者が出頭要請の応じず逮捕されたというものがございます。
その事例を、本件ニュースのタイトルに倣って表せば、『スピード違反の疑いで逮捕』ということになりますね(笑)。


*1 前後輪ともにブレーキが付いていなければならない
自転車を運転する際には、その自転車には、前後輪ともに、所要の性能を有するブレーキを装備していなければなりません。
(参考)自転車に必要な装備品

「自転車の車道通行は危険。だから・・・」に続く文章

さて、昨日警察庁から発簡された通達「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について(PDF)」ですが、この内容についてきちんと書こうとすると5時間くらいかかりそうなので、今回は、これに関連しつつもちょっと違う話題を・・・。


本日、この通達の件が割と広く報道されたようでございまして、様々な方がこの通達のキモの部分である「自転車の車道通行」に関することを話題にされているようですが、それらの中では、「自転車の車道通行は危険だ」という趣旨のものが比較的多数のように見受けられます。
私の個人的な感覚では、自転車で車道を通行することに特段の危険[*1]はありませんが、世の中に危険要素がゼロということはあり得ませんので、そういう意味では危険かもしれません。
何しろ、私が今こうして事務所の中に閉じこもってブログを書いている最中にも、ひょっとしたら隕石がJABLaw目がけて落ちてくるかもしれません。その危険性がゼロであるとは決して言い切れません。
いやはや、そう考えますと、この世の中は実に危険に満ちあふれております。自転車の車道通行も例外ではないでしょう。

では、自転車の車道通行によりどのような危険が生じるのか。
この危険性について話題にされる方の多くは、車道における自転車と自動車との交通事故が増えることを懸念されているようです。
確かに、交通事故発生の危険性は一定割合で存在しますでしょうから、これまで歩道通行していた自転車が車道を通行するようになると、これまでの歩道上や横断歩道等上での事故にかわり、車道上での事故が起こる可能性が高まるでしょう。
道路全体で見ると、事故が起こる場所が変わるだけの話のようにも思えるのですが、車道にだけ目を向け道路のその他の部分を無視すれば、確かに車道における事故が増えることとなるかもしれません。

では、その危険を局限するには、どうしたらいいのか。
これについては、10人いれば10通り、とまではいかなくても、6通りくらいの意見がありそうなものです。
しかし大半の方はこうおっしゃっているようです。

「・・・だから自転車は歩道を通れ。」

実に不思議です。
「・・・だから自動車は自転車との事故を起こさないように運転しよう。」
とか、
「・・・だから路上駐車をしないようにしよう。」
とか、
「・・・だから自動車を減らそう。」
みたいな意見も、自転車の車道通行は危険と考える方々の中にそれなりの割合であって良さそうな気もするのですが・・・私がざっと耳にした限り[*2]、ものすごく少数なんですよね。

うーん、どうやら多数の日本国民は、道路交通法第63条の4制定の弊害にいまだどっぷり漬かりきっているようでございます。



*1 特段の危険
日常の程度を特に越えるような危険はないということであり、通常程度の注意を払えば危険を回避し得るということです。要は「危険という程ではない」ということです。
(関連記事「それでも車道を走れと言う私」)

*2 ざっと耳にした限り
あくまで「ざっと」というレベルですので、ご了承ください。

警察官の違法自転車運転を申告したところ・・・

2日前の記事で書きました、警視庁高尾警察署警察官による一般市民に危害を加えるに至った違法自転車運転につきまして、昨日、次のページから申告してみました。

東京都(都民の声総合窓口)
警視庁
東京都公安委員会

すると、本日、東京都公安委員会からこの件について電話がかかってきました。
おお、早い!(というか、電話が来るとは意外でした。)

・・・まぁ、電話の内容は「この件を警視庁に伝えて良いか」という確認程度だったのですが(笑)、とりあえず警視庁にもほぼ同じものを送ってますということを付言した上で、了解の返事を致しました。
何やら、警視庁に文書でなにがしかを送るらしいです。

効果は・・・あるのかな?

警視庁高尾警察署の警察官 自転車警ら中に悪質な通行妨害

本日(平成23年5月4日)午前11時10分頃、東京都八王子市高尾町を通る国道20号線において、自転車で警ら中の警視庁高尾警察署に所属する警察官が、歩道から突如車道に進入し、その際に車道上を自転車で移動していた男性の通行を著しく妨害するという暴挙に及んだ。
幸い、被害者男性の急ブレーキが間に合ったため、交通事故には至らなかった。

本事件を後方から目撃した男性(自称:公益法人役員)の話によると、当該警察官は、当初歩道を通って警らしていたところ、歩行者の集団が歩道前方から向かってきたため、車道に移動したが、その際に一時停止や後方確認などは一切行っていなかったという。「何の前触れもなくいきなり車道に飛び出してきた。」とのことである。

被害者男性は、「市民に交通安全の模範を示すべき警察官が、職務中にしかも制服を着用した姿で、このような危険運転を行うとは、まったくもって許し難い。」と憤りをあらわにしている。

なお、取材班が事件現場で確認したところ、歩道は幅1メートル程度と十分な広さを有していない上、歩道には自転車通行可の規制標識は設置されていなかった。
また、前述の目撃男性によると、事件当時の道路は、大型連休の影響で自動車が渋滞してはいたが、車道左端部分には自転車が通るのに十分な空間があったため、自転車が安全に車道通行できる状況にあった模様である。
このことから、当該警察官は、道路交通法第70条(安全運転の義務)に違反していたばかりでなく、道路交通法第17条(通行区分)第1項に違反し歩道を通行していた疑いがもたれる。仮に自転車通行可の歩道であったとしても、歩道幅や歩行者の通行量に鑑みれば、交通ルールを啓発する立場にある警察官が自転車で当該歩道を通る行為は、極めて不適切と言わざるを得ないであろう。

警視庁高尾警察署の警察官というと、車道逆走行為等違法自転車通行の常習犯として度々問題視されているが、本事件では一般市民に危害を加えるに至り、ついにその一線を越えることとなった。
警察官による自転車利用の悪質性がますます高まってきている現状は、憂慮に堪えないものがあるだろう。

歩道通行自転車は道路標識を確認しない

当JABLaw事務局が面している道路「高尾街道」には、ちょうどJABLaw所在地をはさむように、自転車通行可ではない、純然たる歩道が、およそ1km弱にわたり設けられております。


(地図画像はGoogleマップから引用)

そして、自転車通行可ではない旨は、その区間の始点と終点[*1]で、道路標識にて次のとおり示されております。

(始点)自転車通行可「ここまで」


(終点)自転車通行可「ここから」


自転車が通行できないにも関わらず、自転車横断帯が歩道の進路上に設けられているのが、腑に落ちませんが・・・




・・・が、おそらくこれは、道路交通法第63条の4第1項第2号によって歩道通行を許された自転車すなわち13歳未満又は70歳以上[*2]の方のためのものでございましょう。

ところで、この自転車が通行できない歩道区間ですが、その歩道は、こんな幅が広い立派なものです。



自転車はおろか自動車ですら余裕で通れそうなくらいの幅があります。
しかし、道路標識によれば、自転車の通行は許されません。
ですので、「幅が広い歩道だから当然自転車も通れるはずだ。」みたいな感じで通ってしまうと、「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」という罰則の対象となる犯罪行為を犯したこととなってしまいます。
13歳以上70歳未満[*3]の方は、歩道を通りたい場合には、このようは思い込みをすることなく、きちんと「自転車通行可」であるかどうかを標識等で確認するとともに、その確認がとれない間は車道を通るようにしましょう。でないと、犯罪者になってしまいますよ![*4]

・・・まぁそんなわけで、やはり自転車は通っています(笑)。



そこで緊急プチ・アンケート!
果たして、歩道を通行する自転車は、自転車通行可であるかどうかを意識しているかどうか、それ以前にそもそもそういう法規定が存在することを知っているかなどといったことについて、この区間の歩道を自転車で通行されていた方のうち、明らかに13歳以上70歳未満である方10名からお答え頂きました。

Q1.
運転免許を持ってますか?
 A:持っている 8名
 B:持っていない 2名

Q2.
この歩道は、車道の状況が危険でやむを得ない場合を除き、自転車の通行が禁止されていることをご存じですか?
 A:知っている 0名
 B:知らない 10名

Q3.
「自転車通行可」でない歩道は、車道の状況が危険でやむを得ない場合を除き、自転車で通ってはならないことをご存じですか?
 A:知っている 2名
 B:そういえばそうだった 2名
 C:知らない 6名(うち免許保有者4名)

Q4.
歩道を通る際、標識等で自転車通行可であるかどうかを確認してますか?
 A:している 0名
 B:していない 4名
 C:そもそもその標識の意味をよく知らない 6名

うーん、今回は回答わずか10名程度の「プチ」レベルのアンケートでしたので、日本全体の傾向を示すものとは言えませんものの、歩道を自転車で通行する人が、しかも免許保有者ですら、かくも道路交通法令を意識することなく道路を通っているとは・・・。

・・・ただ、自転車利用者が標識を確認していない理由は、他にも思い当たるものがあるんですよね。
このことについては、また日を改めて書いてみたいと思います。



*1 始点と終点
始点が「ここまで」で終点が「ここから」なのが、ちょっとややこしい感じですが。

*2 13歳未満又は70歳以上
この年齢の人であれば、自転車通行可の規制の有無に関わらず、歩道を自転車で通行することができます。
ただし、歩道を通行するに際しては、「車道寄りを通る」「常に徐行」が義務づけられます。

*3 13歳以上70歳未満
この年齢の人は、自転車を運転する場合には、原則として車道を通らなければなりません。

*4 犯罪者になってしまいますよ!
実際のところ、違法歩道通行について取り締まりが全く行われていないので、罰せられる可能性はほぼゼロのように感じます。
何しろここ八王子では、警察官ですら法律違反を犯してこの歩道を自転車で通ってるくらいですから・・・いやはや、嘆かわしい。

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